of birth

くれない頭巾

(1959)
■ 時代劇 中編
(全240ページ)
■ 少年剣士のこがらし大助は、花月源之助の元で修行をしていた。師の源之助は辻斬りに父を殺され、悪を憎み、悪人を斬り続けるのだった。ある日、山城屋に忍び込んだ賊を斬ったことから、源之助はその仲間、島田悪之進と手下の源八に狙われる。源之助を手強いと見た悪之進らは、源之助をだまし、しびれ薬を盛って源之助を斬った。長屋の熊八の使いでそれを知った大助は、源之助の元に走った。今際の際に源之助は、大助に形見の鈴を渡し、正義の印とするように言い残して逝った。そのころ、江戸の市中は黒卍組が紀伊国屋を襲ったという話で持ちきりだった。その黒卍組が次に茶花屋を襲った夜、どこからともなく真っ赤な頭巾をかぶった男が、鈴の音と共に現れた。男はくれない頭巾と名乗った。源之助の衣鉢を継ぐ大助だった。黒卍組はくれない頭巾のために押しこみに失敗した。だが、次にたちばな屋を狙った黒卍組の前に再びくれない頭巾が現れたとき、くれない頭巾の太刀筋を見た黒卍組の首領は、どこかで見た剣だと気づく。その首領こそ、源之助を殺害した島田悪之進だった……
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